47歳の時に20年振りに芸能界へ復帰
その後98年に離婚し、翌99年、47歳の時に芸能界に20年振りに復帰することになった。
「不安はもちろん、ありましたよ。どっぷり家庭人でしたから。それに、世間のサイクル、時間の経過も20年前とは違いすごく速くなっていて、“これはまずいな”とは思っていました。現場の雰囲気も随分と違うでしょうし、果たしてセリフを覚える脳細胞がちゃんと復活するかなって(笑)」
──その不安を払拭するきっかけはあったのですか。
「最初に所属していた事務所の社長さんが、“大丈夫だよ、できるよ”って背中を押してくださったんです。それに、私が子供たちを育てあげなければいけなかったですから。といっても私の中で出来ることといったらおこがましいですが、俳優以外にはなかったので、“じゃあ、もう一回やってみようか”って」
そして、名前も“明子”から“亜季子”に変えて再デビュー。復帰第一作はドラマ『そして、友だち』(2000年)。深田恭子主演のファンタジー作品で、仁科さんは深キョンの母親役を演じた。
「若い時はドキドキワクワクって感じでしたが、復帰作の時はドキドキドキドキです(笑)。もうドキドキしかなくて、ヤバいって感じ。でも、たまたま、恭子ちゃんが息子と同じ高校の同級生で何度かうちに遊びに来たことがあって、まったくの“はじめまして”ではなかったんです。だから少し安心して臨めました。役としても母親役ということがすごく嬉しかったですね」
幸先の良い復帰ではあったが、その一方でプライベートでは大きな試練に見舞われていたのだった。
(つづく)
仁科亜季子(にしな・あきこ)
1953年4月3日、東京都生まれ。T158㎝。歌舞伎俳優・十代目岩井半四郎の次女として生まれる。1972年、NHK銀河テレビ小説『白鳥の歌なんか聞えない』で俳優デビュー。そのごもNHK大河ドラマ『勝海舟』、土曜ドラマ『眠りなき前進』などに出演し、清純派女優として注目され、多方面で活躍。近年では映画『僕らはみーんな生きている』、『犬、回転して逃げる』、『卍』、ドラマ『刑事ゆがみ』、『庶務行員 多加賀主水』シリーズがなどに出演。その一方で、自身のがん闘病の体験に基づく講演でも活躍中。
【作品情報】
映画『真夏の果実』
出演:あべみほ 奥野瑛太 佐野岳 小原徳子 東ちづる 仁科亜季子 他
脚本:松本稔
監督:いまおかしんじ
5月17日(土)より東京・新宿K‘s cinema ほか全国順次公開
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
(c)2025「真夏の果実」製作委員会
公式サイト: https://www.legendpictures.co.jp/movie/midsummer_fruit/