ポケモンが進化するほど「濁点の数が増える」「名前が長くなる」

 これも7月21日に上梓された『なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか? 言語学者、小学生の質問に本気で答える』(ディスカヴァー21)でも紹介されている、川原さんが始めた「ポケモン」の言語学的な研究に由来する質問だ。

 ピィとグラードンの質問を小学生にしたところ、ほぼ全員が「ピィが小さい」と答えている。

 ポケモンが進化するほど「濁音の数が増える」「名前が長くなる」という傾向は、英語話者、ロシア語話者、ポルトガル語話者でも同様に確認され、2016年に川原さんが始めたポケモンの言語学的な研究は、世界へと広がっている。

「うれしかったのは、小学生がちゃんと言語学のあれこれを理解してくれたなっていうことですかね。参加してくれた子どもたちもすごくよかった。私の質問に対して、答えを出していってくれたのは小学生たち自身なんですよね。

 本を完全に書き終えて、ふと自分は何をやったんだろうな、と思うことがけっこうあるんです。この本でやりたかったことはなんだったんだろう、みたいな。それで、すごく不遜と言えば不遜なんですけど、もしかしたら、私、今回の本ではソクラテスをしたかったのかな、と思ったんです。
 すごいこと言いましたけど、炎上するかもわかんないですね(笑)こんなの出したらね。
 ソクラテスって、何も知らない人も論理を追っていけば正解にたどり着くことを示した。それを理性と呼んだんですよね」