「役者・片岡愛之助」の背中を押した大きな存在

 その後、「片岡愛之助」を形作っていく中で思わぬ存在が大きな影響を与えることになる。

「僕はそれまで“歌舞伎に携わって生きていっていければ幸せだ”と思っていたんですけど、そうではなく、役者として一つの人格を演じる、この人の人生を演じるということがどれだけ大変かということに気づきだして、これはもうちょっと違うアプローチをしていかなくてはいけないな、と思い始めた頃に出会ったのがB‘zさんの楽曲なんです。彼らの生きざま、発言、一つ一つから、自分たちの作品に対する熱量、どういう思いで作品を作っているのか、その“もの作り”の姿勢が伝わってくる。そのうち、あ、“もの作り”か、と。僕らも考えたら“もの作り”だよな、と。その作ったものをお客様に提供してお客様に楽しんでいただく、というごく当たり前のことに立ち返ることができて、自分にとって大きなプラスになったんですね。自分の舞台にも同じマインドで挑めればいいな、と思えるようになったんです」

 好きなアーティストであるB‘zの世界観が「役者・片岡愛之助」の背中を押すことになった。

「歌詞が突き刺さるんですよね。今も楽屋で化粧するときは聴いてます。だからもう、今回『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE~』の主題歌がB‘zさんということで、こういう形でご一緒させていただいたのは、びっくりですし、こんな嬉しいことはないです。大好きな『ルパン』に出させていただき、大好きなB‘zさんが主題歌。本当にね、夢のような作品です」

 目を輝かせて語る愛之助さん。ちなみに、最初に聴いた楽曲は?とうかがうと。

「『BAD COMMUNICATION』…『太陽のKomachi Angel』かな。最初は友達に教えてもらって、カラオケで聴いて、音楽と歌詞が大好きになって、調べ初めてどんどんハマったんです。間違いなく人生の“CHANGE”を生んだ出会いですし、今の僕にとっても大事な存在ですね」

片岡愛之助(かたおか・あいのすけ)
1972年3月4日生まれ、大阪府出身。1981年、十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名のり初舞台。1992年六代目として片岡愛之助を襲名。2024年文化庁第74回芸術選奨演劇部門文部科学大臣賞を受賞。歌舞伎のみならずドラマや映画など映像分野にも活躍の場を広げる。主な出演作にドラマ『半沢直樹』、大河ドラマ『真田丸』、『麒麟がくる』、『鎌倉殿の13人』、映画『マザー』『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』『はたらく細胞』など。大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』では、鱗形屋孫兵衛役で出演。2023年には“歌舞伎版「ルパン三世」”となる『流白浪燦星』でルパン三世役を演じ、今年9月南座での再演にも出演する。6月27日(金)公開となる『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』に声の出演。

劇場版アニメ 『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』
6月27日(金)より全国公開
原作:モンキー・パンチ
監督:小池健
出演:栗田貫一、大塚明夫、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一
片岡愛之助、森川葵、鈴木もぐら空気階段) 水川かたまり(空気階段)
主題歌:「The IIIRD Eye」B’z
製作・著作:トムス・エンタテインメント
配給:TOHO NEXT
原作:モンキー・パンチ (C)TMS
公式サイト: https://lupinthe3rd.com/