6月27日に公開となる『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』に声の出演をする片岡愛之助さん。子どもの頃から『ルパン三世』に親しんでいたという愛之助さんが、今回の作品参加で改めて感じた思いとは。また、キャリアの転換点となる『半沢直樹』への出演エピソードや、ある音楽との出会いが大きな「CHANGE」を生んだというお話など。歌舞伎とテレビドラマを軽やかに行き来する愛之助さんの根底に流れるストーリーを語っていただいた。【第2回/全2回】

「俳優・片岡愛之助」が個性的な役者として多くの人に刻まれたのは、2013年に放送された『半沢直樹』ではないだろうか。切れ者エリート官僚で、オネエ言葉で話す黒崎駿一を演じ、大きな話題となった。
「これは間違いなく「CHANGE」となった作品ですね。オンエアがあった翌日ぐらいから、もう街を歩く人たちが“見てますよ”“見てますよ”って言ってくれて、大阪で劇場に朝入る際、道頓堀だと、まだホストのお兄ちゃんたちがいたりするわけですよ。彼らが“見てます!ご苦労様です‼”って。ホントに多くの方が見てくださっているんだな、と。テレビの凄さに初めて気づいた作品が『半沢直樹』でしたね」
大ヒットドラマが生んだ「CHANGE」は俳優・片岡愛之助の新しい芝居とのアプローチでもあった。
「例えば、歌舞伎座はお客様が2000人いらっしゃるわけですけど、マイクがないわけですよ。3階席、4階席の高さまで届くような演技をしなくてならない。舞台上での内緒話、みたいなシーンをマイクなしでやるわけですから、とんでもないですよね。そういう演技の仕方を学んできましたので、映像(作品)に来ると、もう180度違うわけです。ちゃんとマイクが付いてる(笑)。でもね、やっぱり本番となったら、もう勝手に大きな声が出るわけですよ。4階席に届けという声になっちゃう(笑)。“もう少し抑えめの声で喋ってください”と言われて、“すみません”みたいなことは何度もありましたね。
それからこれはもう演技の方法が今まで培ってきたものと全く違うんだと思って、一から勉強しなきゃいけないと、いろんな方々のお芝居を見て、作品を見て学びました。それまでになかった芝居を自分の中に沁み込ませていったという感じでした」
その後は数多くの映像作品でも存在感を示すことになる愛之助さん。『半沢直樹』は役者人生の大きな「CHANGE」となった。しかし、人生全体の「CHANGE」というと、若き頃に遡るという。