1983年に、『ものまね王座決定戦』の特別編というべき『発表!日本ものまね大賞』に登場するや、いきなり大賞を受賞し翌年にプロデビュー。またたく間にものまね界のスターへと駆け上がっていった栗田貫一。清水アキラ、グッチ裕三、モト冬樹、コロッケとの「ものまね四天王」が起こしたブームを超える波は、正直、あれ以来起きていない。いまでは不動の人気キャラクター・ルパン三世の声でも知られる栗田さん。ものまねタレントにして、声優、ナレーターの語る人生のTHE CHANGEとはーー。【第1回/全4回】

栗田貫一 撮影/冨田望

 『ルパン三世』約30年ぶりとなる2Dアニメ、劇場版『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』の公開を前に、その前日譚となる『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』の配信がスタートする。ルパンの声優を務めるのは、もちろん栗田貫一さんだ。

 栗田さんは、もともと声優や司会者として活躍し、初代ルパン三世の声優としても知られる山田康雄さんのものまねをして人気を博していた。それは山田さんご本人からのお墨付きでもあった。その山田さんが1995年に死去。映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』製作中のことであり、映画を完成させるためには、山田さんのルパンを誰かが引き継ぐ必要があった。

――『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』のルパンは、栗田さんが作品途中で引き継がれました。

「引き継いだつもりはないんですよ。仕方なくそうなっちゃったというか。だって僕はあくまでものまねをしていただけなんですから。“その流れで僕がやるんですか? それは無理ですよ”というところからのスタートだった。だって“どうですか”とオファーされてもね。本当に僕は山田さんのまねしかしてなかったので」

――ルパン三世に親しんでいたとはいえ、青天の霹靂(へきれき)でもあったんですね。まさに栗田さんの人生の転機、CHANGEの瞬間では。

「今思えばね。中学校で野球をやっていただけのヤツが大谷の代わりに投げろ、みたいな話なので、“そんなの無理だろ”というところからだったんですよ」