この夏、舞台『WAR BRIDE』に挑むウエンツ瑛士の“いまの思い”

──そして、ウエンツさんも日米にルーツをお持ちですが、国境を超えたドラマにどんな気持ちを込めたいと思いますか。

「おふたりは、僕とは比にならないほど困難な時代に生きていらしたので、簡単には感想を言えないですね。フランクさんには、桂子さんを文化も言葉も違う、もしかしたら家族と二度と会えないかもしれない異国に連れてきたことに、言葉にしきれない思いがあったと思います。“これで本当に良かったのか”という苦悩や葛藤、それでも桂子さんを愛しているという、たくさんの思いを舞台で出しきれるよう、追求していきたいです」

ウエンツ瑛士 撮影/有坂政晴

──終戦から80年の年に、この舞台に出合えた意義をどのように感じるでしょうか?

「このカンパニーで演じるメンバーのなかでも、あの時代への思いは人によってさまざまかなと思います。それがどんな風にまとまっていくのかが楽しみです。僕たち戦争を知らない世代にも、作品を通して気づかされることは多いです。80年前に何が起こり、そこから現在の日本とアメリカの関係がどう築かれたのか、お客様一人ひとりに考えてもらえるきっかけになればと思います」

 「演じた人の思いを伝えたい」と、舞台に立ち続けているウエンツ。昨今はミュージカル『太平洋序曲』『アンドレ・デジール 最後の作品』(2023)、戯曲『オーランド』(2024年)など、出演作品もさまざま。舞台俳優としても、確かな芯を持っている。

(つづく)

ウエンツ瑛士(うえんつ・えいじ)
1985年10月8日生まれ、東京都出身。幼少期からモデルなどで活躍。9歳のときに劇団四季の『美女と野獣』に出演し、1995年から2000年3月までNHK『天才てれびくん』に5年間レギュラーでテレビ戦士を務める。2005年には初主演ドラマ『正しい恋愛のススメ』(TBS系)でザテレビジョンドラマアカデミー賞新人俳優賞、2007年の主演映画『ゲゲゲの鬼太郎』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また2002年より、小池徹平とのデュオ「WaT」としても音楽活動を開始。2005年『NHK紅白歌合戦』に出場を果たし、翌年には日本有線大賞特別賞、日本レコード大賞新人賞を受賞している。2018年9月から1年半の間、英国ロンドンに演劇留学。帰国後も俳優として舞台や映像作品を中心に、バラエティなどさまざまなシーンでの活躍を続けている。
ヘアメイク/松永香織
スタイリスト/上野真紀
衣装/Kota Gushiken

舞台『WAR BRIDE-アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』

原案:「War Bride 91歳の戦争花嫁」(TBSテレビ)
脚本:古川健(劇団チョコレートケーキ)
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
出演:奈緒 ウエンツ瑛士
高野洸 川島鈴遥 渡邉蒼 福山絢水 牧田哲也 岡本篤 占部房子
山口馬木也

東京公演
2025年8月5日(火)~27日(水) よみうり大手町ホール
兵庫公演
2025年9月6日(土)・7日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
福岡公演
2025年9月13日(土)・14日(日)  久留米シティプラザ ザ・グランドホール
公式サイト:https://www.warbride-stage.com/