「中学生のときから作詞家になりたくて」
ーーポケットビスケッツのころから、そういった書き方なんでしょうか。
「そう。私は中学生のときから作詞家になりたくて、そこからずっとそうやって書いているんです」
歌手になりたくて芸能界を志したという千秋さんだが、その原点は、中学時代にあったようだ。
「詞を書いてたのも、歌手になるなら、自分の言葉で歌いたいなと思ったから。ノートに歌詞を書いて、1冊分書き終わったらクラス中の女子に回して。“超好きな歌詞は◎、好きな歌詞が◯、ちょっと好きな歌詞は△を書いてね”って言って回して、20人くらいに書いてもらって」
ーーマーケティングしてたんですか!
「いま思うとね。自分だけじゃいい悪いがわからないから。結果を見て“自分が気に入っている歌詞より、別の歌詞が人気あるんだなあ”とか思ったり。それをノート15冊ぶんくらいやっていたかな」
ーー15冊!?
「あ、回したのが15冊分で、実際にはもっと書いていたと思う。詞はずっと永遠に書けるから、とめどなく書くと3日で1冊終わっちゃうくらいだから、書きすぎないようにして」
3日で1冊とは、驚異的なペースだが、自分の経験のほか、友達の話を聞いたり、映画作品を作るように書いたり、想像を働かせたり。作詞に夢中になり勉強がおろそかになるからと、「今日は2個で我慢しよう、とか」と、むしろ抑えていたというから驚きだ。
以後も作詞ノートは書き続け、念願の芸能界入りを果たしたものの、作詞の機会は与えれなかった。
「“歌手になりたい”ってずっと言ってたんだけど、周りのみんなは“ふーん”って感じで。作詞をしていたことは誰にも話していなかったけど、あるとき、篠原涼子ちゃんの当時のマネージャーさんにだけ話したんです」