「私、書きたいんですけど」
篠原さんのマネージャーは、千秋さんにこんなアドバイスをしたという。
「こういうことは絶対にやり続けたほうがいい。忙しくなるとなにもできなくなるから、小さいノートでもいいから、思いついたときにどんどん書き溜めておいたほうがいいよ」
「それから小さいノート30冊分は書いたかな。それで、ポケビの結成が決まったとき“歌詞、誰が書くんですか?”と聞いたら、“まだ決まってない”とスタッフが言うから、“私、書きたいんですけど”って言いました」
千秋さんの直談判に「書けるの!?」と半信半疑だった番組スタッフに、これまでの作詞ノートを披露。ようやく、千秋さんの才能が日の目を見ることとなったのだ。
「それを見て、“歌詞、書いていいよ”って言われて。ちなみに、2曲目の『YELLOW YELLOW HAPPY』は、作詞ノートに書いてあった『もしも生まれ変わったらまた私に生まれたい』というフレーズを、誰かがパッパラーさんに見せて、パッパラーさん、そこからあの曲が思い浮かんだんだって」
その『YELLOW YELLOW HAPPY』は、ポケビのヒット曲となり120万枚を突破。人知れず大切に綴ってきた作詞ノートの存在が、千秋さんを歌手へとCHANGEさせたのだった。
千秋(ちあき)
10月26日生まれ、千葉県出身。1991年にオーディション番組『ゴールドラッシュ!』(フジテレビ系)の初代グランドチャンピオンになると、翌年には『ウゴウゴルーガ』(同)内アニメ『ノンタンといっしょ』で唯一無二の声優として知名度が急上昇。1995年に『ウッチャンウリウリ!ナンチャンナリナリ!!』(日本テレビ系)でポケットビスケッツを結成。多くのヒット曲を生み、ブームを巻き起こした。ファッションアイコンとしても知られ、自身のブランドも展開。chiaki名義で2023年7月7日にパッパラー河合と制作した新曲『アオゾラ』を配信スタート。