芝居の本来の自由さを感じた体験

──『血ぃともだち』(2020)は押井守監督による、ヴァンパイアの少女をめぐっての学園ホラー・コメディでした。オーディションではどんな経験を?

「最終審査がワークショップ形式で、みんなで押井監督から直接指導をいただいたのですが、毎日メモを取って頭にたたきこまないと追いつけないくらい、濃密なレッスンでした。エチュード(即興劇)もやりましたが、例えば『コーヒーショップで、輪ゴムで場所(席)取り』というお題から二人芝居をしていく、のように、そのころの私には思いつかないお芝居の連続で、こんなに自由にやっていいのかと、衝撃的な体験でした」

──アドリブでのお芝居をそこで経験できたと。

「“芝居は、相手の話を聞いていないと返せないんだよ”といった、本質的なお話も聞けました。確かに自分が何も考えないでセリフをしゃべるだけでは、一方的で会話が成り立たないですよね。お芝居の奥深さや楽しさに気づいて、もっと研究してみたいと思いました」

尾碕真花 撮影/有坂政晴