正直すぎるコメンテーター、ファッションアイコン、ポケットビスケッツのボーカル、そして母親。多彩な魅力を持つ千秋さんだが、アーティスト「chiaki」名義でも活動し「歌」への思いは芸能界のスタートから一貫していたという。「歌手になる」という夢を叶えた千秋さんのTHE CHANGEとはーー。

千秋 撮影/松野葉子

「私のTHE CHANGEってなんだろ?」

 マネージャーさんにそう問いかける千秋さん。

「阪神ファンになったことじゃないですか?」と、千秋さんが大ファンであることで知られるプロ野球・阪神タイガースの話に寄せていこうとするマネージャーさんをよそに、千秋さんは「あ!」と、ひらめいたように口を開いた。

「オーディション番組で優勝したことだ」

 1991年10月、堺正章さんが司会を務めたオーディション番組『ゴールドラッシュ!』(フジテレビ系)の初代グランドチャンピオンに輝いたことがきっかけで芸能界デビューを果たした千秋さんだが、そこに至るまで、紆余曲折があったという。

「小さい頃から“自分は芸能人になるんだ”とは思っていて。高校生のときは、ガールズバンドを組んでたの。学校で一番人気で、3年間メンバーチェンジと解散がなかった唯一のバンドで。私はボーカルで、ベースとドラムのリズム隊がめちゃくちゃ上手くて」

 80年代後半、世はバンドブーム真っ只中。千秋さんは当然のように「大学生になったらデビュー」を目論んでいたが、あんなに一緒に青春したメンバーは、見事女子大生に染まってしまったのだという。

「私は短大に進んで。それぞれの大学に進学したメンバーに“バンドの練習しよう”と声をかけても、みんな女子大生の仕事に忙しいからって、全然集まらなくなって」

ーー女子大生の仕事?

「サークル活動とか。髪型もワンレンにしたりキレイになって、“デビューしようと思っていたのって、私だけだったのかな”って思った」

 バンドデビューが潰えた千秋さんだが、同時にほかの方法を探っていた。