CMを見て「私に向けている」と確信

「通っていた短大は、スカウトされるために選んだ学校だったんです。当時は千葉に住んでいて、スカウトが盛んな渋谷や原宿を通る大学はどこかなって探して決めた。

 短大2年間の間にスカウトされることが目標だったけど、毎日渋谷や原宿に行けるわけじゃなくて、気づいたらスカウトされることもなく就職活動の時期になってた」

ーー千秋さんも就職活動を?

「してない。芸能界に入ると思っていたから。親にも”将来、何になりたいんだ”と聞かれたから”小さいころから歌手になりたいって言ってるじゃん”って言ったら、“まだ言ってるの!?”と呆れられて。

 “お父さんの職場にも、土日だけ趣味でバンドをやっている人がいるから、普通に就職して趣味でやればいい”と言われたけど、“そんなのイヤだ”って」

 それでも信念を貫き続ける千秋さんーーかと思いきや、意外にもあっさりと就職活動をすることになったのは、両親からの「リクルートスーツ、買ってあげる」の一言だったという。

「買ってくれるならいいか、って。それで就職活動したらすぐに決まっちゃって。もうあとは春からOLさんになるだけの状況になってしまったんです。

 親は安心して“あとは思い出作りでもしなさい”って。おかしいな、私、芸能界に入る予定だったのに、このままじゃ半年後にはOLさんになっちゃう……って」

 そんなとき、千秋さんの目に飛び込んできたのが『ゴールドラッシュ!』のCMだった。カメラに向けて「歌手になりたい君、待ってるよ!」と差された指を、千秋さんは「私に向けている」と確信したという。

ーーそれでオーディションに応募したんですね。

「そう。履歴書を送ったら1次、2次とどんどん受かっちゃって。親にはもちろん内緒。5万人くらい応募があったみたいだからバレないと思っていたんだけど、気づいたら残りの10人になっちゃって」