「あのう、綱渡りの練習をしたいんですけど」

 次週の企画を告げられると収録が終わり、メンバーは何事もなかったかのように帰宅。一方で、千秋さんは困惑しっぱなしだった。

「ナンチャンたちは帰っちゃったけど、私は1週間後に綱渡りできるようにしなきゃいけないから。泣きながら“どうしよう”ってスタッフに相談したら、“綱渡りを練習する場所を探そう”と。それで綱渡りといえばサーカスだなと、スタジオにあったタウンページの“サ行”を開いて」

 ネットもない時代、サーカス団がどこにあるのかもわからないまま、出てきた3つの団体に電話をかけた。

「“あのう、綱渡りの練習をしたいんですけど”と電話したんだけど、全然相手にしてくれなくて。木下サーカスさんだけが“朝に来てくれれば、練習できます”と言ってくれて。

 1週間の間、3,4回ほど静岡の木下サーカスさんの拠点まで行って練習させてもらいました。ライオンの檻がその辺にあって、ガオガオ言ってたなあ」

ーー電話も自分で……すべてがガチだったんですね。

「あとは、スタッフが作ってくれた練習場で練習した。でも、ほんとうに意味がわからない。なんで急に綱渡りなんだろう。ナンチャンの思いつきだと思うけど」

ーー番組では、南原さん扮する天才音楽プロデューサー南々見一也が、さまざまな対決を発案しているという設定でしたよね。

「だから、ナンチャンがイヤだったんだけど、ポケビの企画じゃないときも、いろいろ厳しく教えてくれたのはナンチャンなんです」