一般にはあまり知られていなかった南インド料理専門の飲食店『エリックサウス』を大成功に導き、現在の若い人たちを巻き込み、本格カレー人気の流れを作る一翼を担った稲田俊輔さん。その稲田さんが今、ハマっているのが使う食材の種類をギリギリまで削ぎ落とした「ミニマル料理」。南インド料理からミニマル料理へ、大胆な「CHANGE」を見せる稲田さんに、これまでの料理の変遷を聞いてみた。
 

エリックサウス・稲田俊輔 撮影/三浦龍司

コロナが加速させた外食不況

 取材場所となった「「エリックサウスマサラダイナー神宮前」に我々取材陣が着いたのは、昼営業が終了する間際の15時少し前。それでも店内の席は半分以上が埋まっていた。コロナ禍も明け、街には以前以上の人が戻ってきたが、これからの外食、「エリックサウス」はどこに向かうのだろうか?

稲田「まず、コロナ禍で外食をめぐる状況は、いろいろ変わりました。基本的にはマイナスの方向に変わったんですが。それはコロナ前から危惧していたことばかりだったんです。コロナ前は、たとえば居酒屋は忘年会や新年会など会社の宴会、レストランなら接待や気合の入ったデート。そういう人が会う、集う場として機能していたんですね。食べることは二の次で、とにかく無難で文句のないものを出すことが大事だったんです。そういう集う場としての需要はなくなりましたね」

 会社の飲み会を避ける傾向は、確かにコロナ前からあった。コロナはそれに追い打ちをかけたということなのだ。

稲田「若い人たちの飲酒離れもそうですね。若い人たちだけでなく、それまでガバガバ飲んでいた中高年の人たちも、自制心を持って飲むようになりましたし。そういったことが、コロナの3年間で加速したということだと思うんです」