冷静なツッコミや自然体のコメントが愛され、「家電」や「ガンダム」、「ゴルフ」など、好きを深堀するスタイルが長くバラエティの現場で高く評価される芸人・土田晃之さん。このたび『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』という自らの幼少期から青春までの様々なカルチャーを振り返る1冊を刊行した。昭和の「クレイジー」な力がいかに土田晃之を作り上げたかがわかる1冊だ。この本にまつわるトークをベースに、土田さん自身の芸人ヒストリーを重ねて聞いた。【第1回/全4回】 

土田晃之 撮影/有坂政晴

 1972年(昭和47年)生まれの土田晃之さんは、昭和の終わり1980年代は8歳から16歳。小学生から高校生へという時期。当時の思い出が綴られた新著『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』は青春時代への思いを込めた1冊ということになるのだろうか。

「いや、ちょうどその時代のことをいろいろ書いてた連載があって、溜まったので1冊にまとめましょうか、って言われたので、“どうぞ”って言っただけです」

 いつものスンッとした土田流の返しで現場を和ませる。本書で描かれるのは、アニメから戦隊シリーズ、刑事ドラマにプロレス、お笑いにアイドルなど幅広く、昭和の子どもたちがいかに様々な分野のカルチャーを楽しんでいたかがわかる。

「当時は情報量が多くないのが逆に良かったんじゃないですかね。今はインターネットがあって、細分化しちゃってるから、それぞれが自分の趣味を深めるんでしょうけど、僕らのときはテレビとラジオしかないので、みんなで共通の話題が多かったんですよね。だから、今の子かわいそうだなと思いますけどね。年取って、みんなで“あれあったよね”みたいなことは、俺らのときよりは全然少ないだろうなと思うから」

 子どもたちの「誰もが知っている」カルチャーの幅が広いのには当時のテレビ事情もあるという。