いつの時代も美しく前を向き、世の憧れである松雪泰子。だか彼女のように30年以上も第一線で活躍できる表現者でい続けるのは、並大抵ではない。今秋、音楽劇『エノケン』で“昭和の喜劇王”こと榎本健一に寄り添った、二人の妻の生涯を演じる松雪のTHE CHANGEを聞いた。【第1回/全3回】

「これから本格的にお稽古に入りますが、演じる喜世子さんとよしゑさんという、二人の女性の本質を理解したうえで、“エノケンさんをどう見ていたのだろう”という視点を得たいと思います。そうすれば、おのずと舞台上でおふたりの人柄も伝えられると考えています」
柔らかい物腰に、凛(りん)とした語り口には、大女優の風格がただよう。そのイメージにたがわず、整然と彼女ならではの役者論や出会いを語ってくれた。