1981年10月『センチメンタル・ジャーニー』でデビュー。数々のヒット曲やバラエティ番組での自然体なスタンス、「理想の夫婦」と言われるヒロミさんとの仲睦まじい関係性が長く愛されている松本伊代。“還暦”となる今年、10月4日と5日に開催するコンサートは「Sweet Sixty」と題される。16歳で歩み出したSweet Sixteenから今また歌に向き合うSweet Sixtyへの軽やかな足取りを聞いた。【第2回/全3回】

松本伊代 撮影/有坂政晴

 “伊代はまだ16だから”と、歌詞に自らの名前が入った名曲『センチメンタル・ジャーニー』。「THE CHANGE」では、作詞をされた湯川れい子さんにこの曲の誕生秘話をうかがったが、『センチメンタル・ジャーニー』は、湯川さんの数あるヒット曲の中でも唯一といっていい「詞先」(歌詞を先に制作するスタイル)だったという。

‎「そうなんですよ。湯川れい子先生が先に歌詞を書いたという珍しいケースで。先生は私の写真や資料を見て、あと、私が歌ってる声が入ったデモテープを聴いて、それだけで歌詞を書かれたそうで、その歌詞を渡された筒美京平先生がメロディーをつけてくださったんです。 でも正直に言うと、実は当時、湯川先生の歌詞を見たときに、“伊代”って入ってる…と思って、ちょっと恥ずかしいなって思ったんですよ。私は自分のことを“伊代”と呼んだことがなかったので(笑)。でも、その歌詞にメロディーがついて歌ってみたら、すごく素敵!って思って。メロディーと歌詞がとてもマッチしていて。すぐに何の違和感もなくスムーズに歌えるようになったんです。歌詞と曲の力はすごいなと思いました」

 1981年10月のデビュー。当時の記憶に残っていることというとどんな場面だろう。