人気アイドルからデスメタル、萌え系まで、どんな楽曲も歌いこなす山下絵理さん。“仮歌の女王”の異名を持ち、数えきれないほどのアーティストたちをガイドボーカルで支えてきた。
 約25年間、黒子に徹してきた彼女が、「作曲家・三木たかし生誕80周年記念プロジェクト」の歌手として大抜てきされ、三木たかし氏の秘蔵曲で今夏デビューした。ドラマチックな半生をたどってきた山下さんの“THE CHANGE”を語ってもらった。【第3回/全5回】

山下絵理 撮影/松島豊

 ミニモニ。やリア・ディゾンといった人気アイドルから、重低音がとどろくデスメタルまで、作家たちのあらゆる要望に応える「仮歌の女王」、山下絵理さん。今年、ついに歌手デビューし、自らもスポットライトを浴びる存在となった。そんな山下さんは、歌手になること以上に「きらめき」を大切にしてきたのだと語る。

「中学2年生のとき、ホイットニー・ヒューストンさんの『RUN TO YOU』を聞いてから洋楽にハマり、実家の近くにある図書館で毎週10枚、限度枚数ぎりぎりまでCDを借りては、特にソウルミュージックにどっぷりつかりました。
 目を閉じてイヤホンから流れる音楽に耳を傾けていると、わけのわからない涙が流れてきて……。思春期のやるせない思いが、すっかり洗い流されるような気持ちになったんです。“音楽が持つカッコよさって、いったいなんなんだろう”と心を揺さぶられたし、この感動をずっと忘れないために、自分の気持ちに名前を付けたいと思いました。そのとき、“確かなきらめき”という言葉が頭に浮かんだんです」