歌うときの判断基準は「確かなきらめき」
それからずっと今も、山下さんは「確かなきらめき」を求める旅を続けている。
「中学生で確かなきらめきを見つけたとき、“いつか私が大人になったら、そのきらめきを使って誰かの役に立てるようになる”と心に誓いました。
それは、プロのミュージシャンになって表舞台に立つということではなく……。うまく言えないのですが、それが歌うときの唯一の判断基準になったんです。18歳で初めてミニモニ。さんのためにコーラスを歌ったとき、“ここには“確かなきらめき”がある!”と確信できたんですよね。だからこそ、仮歌を25年も続けてこられたのだと思いますし、どの歌にも自分なりに、確かなきらめきを込めてきた自信があります」

音楽には、形もなく、見ることも触ることもできない。だからこそ、山下さんは“確かなきらめき”という感覚にこだわってきたのだろう。そしてきっと音楽のプロたちは、彼女が歌に込めたきらめきに魅せられ、指名してきたのだ。
「ミニモニ。さんのコーラスは単発のお仕事でしたが、しばらくしてから“この仮歌は誰が歌ったものですか? 歌った人を紹介してほしい”と言われたんです。そのディレクターさんは、コンペで気になる楽曲の多くが、私が仮歌を入れたものだったと言ってくれました。それで“僕は、この仮歌が好きなのかもしれない”と、わざわざ私を探してくださったんだそうです。
おかげさまで、これまでにハロー!プロジェクトさんの仮歌をたくさん歌わせていただきました。そうそう、最近はこんなこともあったんですよ。あるとき、スタジオで仮歌を入れていたとき、初めての仮歌がミニモニ。さんだったと話したら、立ち会っていたディレクターさんが“それは、僕が生まれて初めてディレクターを任された曲です”っておっしゃったんです。すごく驚きましたね。“確かなきらめき”が導いてくれた奇跡だなって思いました」