健さんを眺めるだけ「現場でどう振る舞っていて、どんなオーラがあるんだろう」
──実際に高倉健さんに会ってみての思い出は?
「当時の僕は “どういう人なんだろう、現場でどう振る舞っていて、どんなオーラがあるんだろう”と、健さんを眺めるだけでした。俳優としてはもちろん差があるから、到底取り入れるなんてできないんだけれど、“姿を生で見た”というだけでも、一生の宝になる。見たという事実が自分の中に残るじゃないですか。それが自分の人生の中の財産ですね」
──体験してみることで、人生が変わっていったと。
「そう思います。まず『ふぞろいの林檎たち』で、いい意味で勘違いできたことも、潜在的に自信につながったのかもしれないです(笑)。そして『チロルの挽歌』も山田太一さんの(脚本)作品でした。縁もあるし、偶然でも“面白いな”“すごいな”と心が動く瞬間に出合えることが大事なんだなと、その後の人生でも実感します」
もがいていた20代を経て、30代以降も阿部の奮闘は続く。「初めて演技をほめてもらえました」という舞台『熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン』や、人々との出会いで二枚目俳優の殻を破っていった。

阿部寛(あべ・ひろし)
1964年6月22日生まれ。神奈川県出身。189センチ。『MEN'S NON-NO』(集英社)のモデルとして活躍後、1987年に映画『はいからさんが通る』で俳優デビュー。1994年に映画『凶銃ルガーP08』『大阪極道戦争・しのいだれ』で第4回日本映画プロフェッショナル大賞特別賞を受賞。その後、2000年にスタートした主演ドラマ『TRICK』(テレビ朝日系)がヒットし、その後もドラマ『ドラゴン桜』シリーズ(TBS系)、『結婚できない男』シリーズ(関西テレビ・フジテレビ系)、『坂の上の雲』(NHK)、映画『テルマエ・ロマエ』(2012・2014)など主演作多数。2025年は映画『ショウタイムセブン』『キャンドルスティック』、ドラマ『キャスター』(TBS系)で主演。レトロなデザインの公式ホームページもしばしば話題を呼んでいる。
ヘアメイク/AZUMA
スタイリスト/土屋詩童
映画『俺ではない炎上』大ヒット上映中
■キャスト:阿部寛
芦田愛菜 藤原大祐 長尾謙杜
三宅弘城 橋本淳 板倉俊之 浜野謙太 美保純 田島令子
夏川結衣
■原作:浅倉秋成『俺ではない炎上』(双葉文庫)
■監督:山田篤宏
■脚本:林民夫
■音楽:フジモトヨシタカ
■主題歌:WANIMA/🔥おっかない🔥(unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)
■公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/oredehanai-enjo
■配給:松竹
Ⓒ2025「俺ではない炎上」製作委員会 Ⓒ浅倉秋成/双葉社
