「勝手に稽古していたことまで耳に入って、“ずっとやってたんだって?”と」

「その“いいな”て思う瞬間があったというのが大事なんです。その後、蜷川さんから声がかかったときも、絶対にいい芝居を見せたくて、自分でスタジオを借りて練習していました。縁なんてないと思っていたタイミングだったので、もう“出ます!”と即答して」

──千載一遇のチャンスだったんですね。

「蜷川さんの稽古を見た衝撃と、自分が呼ばれないと思っていたこともあって、すごくうれしかったし、その分のエネルギーが有り余っていたんですね。そうしたら蜷川さんって地獄耳だから(笑)、勝手に稽古していたことまで耳に入って、“ずっとやってたんだって?”と信用してもらえました」

──稽古場で見ている側だったのが、演じる側になったのも俳優冥利(みょうり)につきますね。

「すぐに結果につながらなくてもいいんです。まずは“見る”ということが大事。高倉健さんに会いたくて端役でドラマに出たときも、蜷川さんの稽古を見たときも、その瞬間自体が僕の財産になりました。だから、僕の作品もふらっと見てくれて、いつか誰かの人生にいい影響を与えられていたらいいですね」