面白さを体感する前に挫折する人が多い

丸山「水中考古学もそうですが、陸の考古学も同様に“ロマン”がある面白い学問なんです。でも、このロマンにたどり着くまでに勉強すべきことが山積みなんですよね……。面白さを体感する前に挫折する人が多いという、すごくもったいない現状があって。だから、もっと考古学のロマンとかエンタテインメント性を知ってほしいなという思いから、この本を書いたんですよ」

宮田「そうだったんですね。読ませていただいて、フィールドワークがすごく大切だということはすごく伝わってきました。実際に海外を飛び回っているゴンザレスさんらしいなと」

丸山「ノンフィクションやルポルタージュを書くときは当然、現地を取材するわけですが、そうすると事前に〈資料〉がないとできない。その点、始めに資料や本を読みこんでからフィールドワークをして検証するという、考古学者としての経験にはとても助けられていますね」

宮田「ジャーナリストとしての原点が大学で学んだことにあるというのも興味深いです」

丸山「宮田さんも『きらきらし』(新潮社)など小説家として活動していますが、大学で文学を専攻されていた強みがありそう。ちなみに小説を書く時、取材を積極的にするタイプですか? 僕、いろいろな小説家の人たちと話していても、文章を書く人間は総じて取材を重視している印象があるんですけど」

宮田「めちゃめちゃします! 特に『きらきらし』は学生たちのお話だったので、大学のことを思い出すために、國學院大學まで何度も足を運びました。キャンパスの空気を吸ってみたり、写真をたくさん撮ったりして楽しい時間を過ごしましたね。あとは、いろんな人に“別れ”についても取材しましたね。別れ話を聞きまくって“その時どう思った?”というのをひたすら深掘りして。じゃあ、嫉妬っていうのはこういう“色”になるんだと思って作品に生かしたりとか」

丸山「“色”!? 色を言葉に変換するイメージで小説を作ってるんですか?」