“國學院で小説家”はしっくりきたが、“國學院でアイドル”というのは意外

丸山「(笑)。僕としては、“國學院で小説家”というのはしっくりきていたんですが、“國學院でアイドル”というのが意外だったんです。そんなに派手な人がいるとは思えなくて……。でも、その話を聞いて少し腑に落ちました(笑)。宮田さんはアイドル時代から“文学キャラ”だったじゃないですか。グループの中で浮いていませんでしたか? そのあたり、おじさん心配」

宮田「めちゃめちゃ浮いていました! 以前、私が買った雑誌をグループのみんなに見せたことがあるんですよ。“今流行っているよね! かわいいよね! 鳥獣戯画!!”なんてハイテンションで」

丸山「ああ……國學院っぽい(笑)!」

宮田「そうしたら、“鳥獣戯画って何……?”って。みんなが知らないってことがもうショックで、3日くらいは引きずりましたね(笑)」

丸山「國學院の人って、一見派手そうな学生でも、案外みんな古典とかの常識を押さえていたりするんですよね。ちょっとそういう意味では、東京のど真ん中にあるわりには特殊な大学だと思います」

宮田「わかります!」 

丸山「鞄に本をパンパンに入れて“これ読んだ?”とか言ってる人多い!」

宮田「私の友達も“今からクラブに行く”って言って、鞄に『唐詩選』入れているんですよ。“そんなのを持っていくなよ!”ってツッコミ入れたかった(笑)」

丸山「ね! 飲みに行ったりクラブに行ったりする学生も、鞄がパンパンなのを見たら“コイツ國學院だな”ってわかってしまうんですよね。だから渋谷の駅前を歩いている学生を見ても、どっちが青山学院でどっちが國學院なのか当てられちゃう(笑)」

宮田「本当に! あと姿勢とかの見た目でなんとなくわかるんです。渋谷警察署のところの歩道橋を歩いてても、鞄が分厚くて背中が丸いほうの学生が右に行く(笑)。同じ渋谷にある大学なのに、違う世界、違う時間軸で過ごしてる気がしていました」

丸山「でも、地方の人とかにオシャレぶりたいときは“大学は渋谷なんです”なんて言ってね。大学名は決して言わない」

宮田――「“渋谷の岡のほう……”とか(笑)」

丸山「渋谷の岡に大学たてり……って、校歌にもありますしね。そんな、ちょっとひねくれたところがあるのが、僕たち國學院なのかも」

【第2回に続く】

宮田愛萌(みやた・まなも)
1998年4月28日生まれ、東京都出身。2023年アイドルグループ卒業時に上梓した『きらきらし』(新潮社)で小説家デビュー。現在は文筆家として小説・エッセイ・短歌などジャンルを問わず活躍。ほか、主な著書に『あやふやで、不確かな』(幻冬舎)、『春、出逢い』(講談社)、『おいしいはやさしい』(PHP研究所)、『わたしのをとめ』(短歌研究社)などがある。また、タレントとして、”本”に関するテーマでテレビ、トークショー、対談などに出演する。

丸山ゴンザレス(まるやま・ごんざれす)
1977年生まれ、宮城県出身。ジャーナリスト、作家、漫画原作者、編集者。國學院大學学術資料センター共同研究員。國學院大學大学院修了後、出版社勤務を経て独立。2005年『アジア『罰当たり』旅行』(彩図社)で作家デビュー。テレビ番組「クレイジージャーニー」(TBS系列)では、世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩く“危険地帯ジャーナリスト”として人気を博す。YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスのディープな世界」はチャンネル登録者数140万人超。近著に『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』(講談社)、『世界の危険思想~悪いやつらの頭の中~』(光文社)、『タバコの煙、旅の記憶』(産業編集センター)などがある。

『MASTERゴンザレスのクレイジー考古学 増補改訂版』
丸山ゴンザレス著
本体価格:750円(消費税別)
文庫・288ページ
TBS系列の旅番組『クレイジージャーニー』や、YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスのディープな世界」で大人気の裏社会ジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、その活動の原点とも言える考古学について、自身の半生を振り返りながら持論を展開する異色の旅エッセイ。さらに、これまでの取材を通じて見てきた「裏社会」と、学生時代に修士号を取得した「考古学」を融合させた「ハイブリッド考古学」の実証に挑む。2020年に出た単行本を加筆修正し、イラスト、写真、対談記事を加えた改訂完全版!