人の感情って“色”が一番近い
宮田「出来事に対する人の感情だけを取り出して、それを分解して組み合わせて……という書き方をするんです。この感情に名前を付けるのが得意ではなくて。人の感情って“色”が一番近いと思っていて、元の原色を絵の具のように混ぜたものを登場人物の感情としてイメージしているんです」
丸山「風流ですね! 古典文学好きな様子がすごく漂ってきます。このお話も『万葉集』をモチーフにした作品でしたし、登場人物が互いに自己紹介をするシーンで名前の漢字に触れるやりとりがあったりと、普通の恋愛小説にはない、言葉を大切にする宮田さんらしさが香る作品のように感じました」
宮田「ありがとうございます。私は小説を含め、何かを作っている時間が一番好きで。完成させた瞬間というよりも、そこまでの段階が好きなんです」
丸山「素敵! ちなみに、一番しんどいときは?」
宮田「自分の小説が本当につまらないと思ったときです。“これ誰が面白いんだろう……?”って思うと苦しくなりますね(笑)。小説を書いている時も“世界で私だけしか面白くないんじゃないか?”と思ってしまう瞬間は多々あります」
丸山「それは同じく物書きの自分も思ってしまうかも。僕はルポとかだから、論理的整合性とかが必要になってくるんですよね。伝わるように書いてるつもりなんですけど、面白くしようと思うと、どうしてもいろいろ詰め込みたくなってしまって。最終的に編集者に提出した時に“意味わかんない”って一言で突き返されたりすると絶望しますね(笑)」
宮田「その悩みは物書きの“あるある”かもしれませんね」
丸山「そういえばこの『きらきらし』は“アイドルとしての卒業論文”とのことですが。そもそもアイドルは、前からずっとやりたくて始めたんですか?」
宮田「ダンスをやっていたので、ステージに上がりたいという気持ちはあったんですが、どちらかというと、大学時代にオーディションを受けてみたら受かっちゃったっていうのが正しいかもしれません。大学生になってからというのは上限ギリギリの年齢だったので、同期の中では最年長でした」

丸山「國學院って、けっこう課題とか多くて学業もハードだったと思いますけど、芸能活動と両立するのは大変だったんじゃないですか?」
宮田「大変ながらも充実していたのは事実なんですが……。実は、どちらかというと学業を優先していた部分はありますね。勉強が好きすぎて……フルに単位を詰め込んで学校に通っていました」
丸山「それはなおさら大変!」
宮田「事務所から、“そんなに授業あるの?”って言われたら、“去年の必修を落としちゃったので、取らないといけないので”なんて誤魔化したりして(笑)。今だから言える話ですけどね」