英国式を選んだ祖父「子どもの頃から、家でお茶の時間がありました。しかも牛乳紅茶」

――さきほどお父様のお話がありましたが、ほかにご自身に影響を与えている教えはありますか?

「“紳士たれ”というのは言われてました。じいさんがもともと、そういう人だったんです。うちは士族で古い家だったのですが、じいさんが初めて西洋文化に触れたんです。そのとき、英国式を選んだんですよね」

――英国を選んだ。

「そう。だから僕は子どもの頃から、家でお茶の時間がありました。しかも紅茶。ミルクティー。いや、ミルクティーとは言わずに、牛乳紅茶と言っていました。中学生くらいになったときに、世の中にインスタントコーヒーが浸透しだしたんですけど、みなさんいろんな家庭でコーヒーを飲むなか、うちは相変わらず紅茶。牛乳紅茶を飲んでましたね」

――そうしたお茶の時間には、ご家族でお話をされたりしたのでしょうか。

「それが嫌だったんですよ。話すようなことは何もないし(苦笑)」

――ちなみに今も牛乳紅茶は飲まれますか?

「いまはストレートです(笑)。でもいまだに僕は牛乳紅茶ですね」

 舘さんのダンディズムは、舘プロに入るその前の、おじいさま、おとうさまから始まっていた。

つづく

たち・ひろし
1950年3月31日生まれ。愛知県出身。1976年に映画『暴力教室』で俳優デビューし、1983年に石原プロモーションへ入社。1986年のドラマ『あぶない刑事』(日本テレビ)で大ブレイクし、同作はシリーズ化、最新作となる映画版『帰ってきた あぶない刑事』が2024年に公開されるなど、今も続く人気作となっている。近年の主な出演作に映画『アルキメデスの大戦』(19)『ヤクザと家族 The Family』(21) 『ゴールデンカムイ』(24)など。また内館牧子の長編小説を映画化した『終わった人』(18)では第42回日本アカデミー賞優秀主演男優賞ほか、多くの賞に輝いた。歌手としても、作曲を務めた『泣かないで』など、多くのヒット曲を持つ。2021年に芸能事務所『舘プロ』を設立。

●作品情報
『港のひかり』
監督・脚本:藤井道人
企画:河村光庸
撮影:木村大作
音楽:岩代太郎
美術:原田満生
出演:舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、黒島結菜斎藤工ピエール瀧一ノ瀬ワタルMEGUMI、赤堀雅秋、市村正親、宇崎竜童、笹野高史、椎名桔平
制作プロダクション:Lat-Lon、舘プロ
配給:東映、スターサンズ