ポジティブな部分には共感が持てたが…
本作は佐野広実の同名小説が原作。夫から受けていた日常的な暴力=DV(ドメスティック・バイオレンス)により自己喪失にまで至ってしまった主婦・紀子がシェアハウスに逃げ込み、そこに住む女性たちと共同生活を送りながら人生を取り戻していく物語。だが、その家にはあるルール(秘密)があった……というヒューマン・ミステリー。
「原作小説があるので、最初は紀子目線で読みました。重い話ですが、女性たちが結束して自分たちの人生を切り開く……というポジティブな部分には共感が持てました。ただ、現実に夫から暴力を受けて自分を見失ってしまう、というのは、自分でも経験がないですし、周りにもそういう人はいないので、信じられない部分はありました」
多部さんにとって理解が難しい世界……だったのかもしれない。演じた主人公・紀子についてはーー。
「とても口数が少ないキャラクターで、台本にも『……』というのが多かったんです(笑)。ただ、そのぶん、感じたり、悟ったり、相手の気持ちに寄り添ったり、そういうセリフや言葉ではない部分での表現が多かったですね。視線ひとつでも気持ちの表し方は変わってきますが、そこは監督やカメラマンさんとも話し合って工夫しました」
『連続ドラマW シャドウワーク』より Ⓒ佐野広実/講談社 Ⓒ2025 WOWOWシェアハウスを共同経営する二人の女性・昭江役を寺島しのぶ、路子役を石田ひかりが演じ、紀子と一緒に暮らすシェアハウスの住人、雅代役に須藤理彩、更に女性の不審死を追う刑事・薫には桜井ユキと豪華キャストが名を連ねる。
「物語自体はシリアスで重いんですけど、撮影現場は常に誰かが喋っていて笑いの絶えない明るい現場でした。(寺島)しのぶさん、(石田)ひかりさん、須藤(理彩)さんがムードメーカーで盛り上げてくださっていました。しのぶさんは、“コレってこういうことで良いんだよね” “私、緊張しちゃう”などとご自身の気持ちを素直に伝えていらっしゃったので、私も疑問に思ったことは聞きやすかったですし、新しい発見もありました」