脱帽した細田守監督のとても巧みで素晴らしい演出「聖がいることで、より身近に観ることができる」
「今回の作品の収録をした時期、ちょうど『彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd』で『ハムレット』をやっていたんです。まさに『ハムレット』でつながった感じがありました。収録前に細田監督と30分くらい『ハムレット』についてお話させていただきました」
世界最高峰の戯曲のひとつである『ハムレット』。そのテーマは普遍的でありながらも、「描き切れない」という、クリエーター泣かせの一面を持つ。そうした作品の持つ底知れない難しさについて、監督と語り合ったという。
「『ハムレット』のテーマのひとつでもある“赦すこと”をクリエイターとしてどう描くのか。押しつけがましくてもダメだし、わかりにくすぎてもダメ。観客の方々が楽しく理解して、心地よく受け止められるようなものを作っていかなきゃいけない。そう考えると、細田さんは『ハムレット』と『果てしなきスカーレット』をこんなにうまく掛け合わせたのかと、細田さんの頭の中では『ハムレット』がこうなるのかと脱帽しました。“復讐の連鎖”が原作のテーマのひとつですが、それが細田流に感動的にわかりやすく展開されていて。「シェイクスピアの舞台を観に行くのはちょっとしんどいな」という人でも、とても面白く観られると思います」
今作は『ハムレット』から踏襲した中世の世界観の中で展開するが、その中にあって異質なのは、岡田将生さん演じる唯一の現代人である看護師の聖。その存在について「とても巧みで素晴らしい演出」と、賛辞を惜しまない。
「彼が現代からまぎれ込んできたことで、遠い昔のおとぎ話になっていないんですよ。我々と同じ時代を生きている聖がいることで、より身近に観ることができるんです」