宗教団体のキーワードは龍の中でも一番位の高い“応龍”

 架空の宗教の構想を練るさなか、2024 年に大阪で西日本に縁のある作家たちが演技を披露する「なにげに文士劇2024旗揚げ公演」として東野圭吾さんのデビュー作『放課後』の舞台が上演され、湊さんも出演した。実行委員長は2014年に『破門』で直木賞を受賞した黒川博行さん。湊さんは、黒川さんの妻で日本画家の黒川雅子さんとの交流を深めたという。

「本番の前日に、翌日が雨予報だったので雅子さんと“私は雨女なんです。でも、水に関係する龍神様に守られていると思っているんです” という話をしていたら、“応龍って知ってますか?” と言われたんです。雅子さんは舞妓さんや花魁の絵を描くとき、着物の柄を描くために龍についてよく調べていたそうなんです。その話をうかがって、私自身も“応龍” を調べてみると、“龍の中にも位があり、一番位の高い龍が応龍” だということがわかったんです」

 このとき湊さんはひらめいたという。 “応龍” を、これから立ち上げる宗教団体のキーワードにしよう、と。

「そうしたら次々に、登場する出版社の名前や文学賞の名前、勧誘の仕方や教義、謎の儀式が出来上がっていき、今年に入ってから1か月半くらいで書き上げることができました」

 雄々しく神々しい龍が印象的な装画は、黒川雅子さんが描いた作品だ。原画は金と銀が使用され、立体感が際立つ。湊さんは「今までの自分の作品にはない装丁にしていただきました」と笑顔を見せる。

 装丁通り、さまざまなページに龍が浮かび上がる物語だが、ほかにも、見逃せない象徴的な “アイテム” がある。”