学ぶことが本当に多い声の仕事「“自分としてできることはなんなのか”を自分なりに考えてやっている」
今作は、音声を収録してからアニメーションを制作する「プレスコアリング」と呼ばれる手法で収録したという。
「コンテを拝見しながら収録だったのですが、その前にキャラクターデザインを見させていただいていたので、それをヒントに、役を膨らませました」
――少ない手がかりで、キャラクターに合わせた声を生み出したんですね。
「細田監督のコンテはそれだけでひとつの作品になっているので、すごいヒントになるんです。これまでは作品製作の後半のタイミングでアフレコをしていたのですが、今回は収録したのがだいぶ前だったので、今日を迎えられて(ジャパンプレミア当日に取材)“やっとこの日が来たんだな”と、期待感が膨らんでいます」
ふだんは俳優として活躍する今作の声優陣。それぞれの臨場感あふれる演技は、声優と俳優との垣根をまったく感じさせないが、染谷さん自身は「ふだんのお芝居と声のお芝居とでは、違いしかない」と話す。
「同じく“演技をする”というフィールドではありますが、まったく別の職業に就いたくらい違います。まず、声のお仕事は決まった尺の中で表現をしなきゃいけない。自分にはそのスキルがあまりないので、“自分としてできることはなんなのか”を自分なりに考えてやっているんですが、学ぶことが本当に多いです。
ふだんは“自分でリズムを作り、それを監督が編集していく”けれど、声のお仕事は“編集されたものに自分が命を吹き込んでいく”。まさに真逆なんです。決まったリズムがある中で、説得力を持たせていく――というのは、ものすごくスキルがいることですし、今回もとても勉強になりました」
作品と真摯に向き合う染谷さん。だからこそ、観た者にインパクトを与える力が、その声に宿っているのだろう。そんな若き名優が「胸打たれた」瞬間があった。それは、いつだったのか?
つづく
そめたに・しょうた
1992年9月3日、東京都生まれ。9歳のときに『STACY』で映画デビューし、数々の作品に出演。2011年には映画『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。今年の出演作に大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK)、『シナントロープ』(テレビ東京系)、『イクサガミ』(Netflix)、映画『BAUS 映画から船出した映画館』、『風のマジム』、『ベートーヴェン捏造』、『爆弾』、待機作に『新解釈・幕末伝』(12月19日)が控える。
▪︎作品情報
『果てしなきスカーレット』
2025年11月21日(金)より全国公開中
スタッフ
監督・原作・脚本:細田守
キャスト
芦田愛菜
岡田将生
山路和弘 柄本時生 青木崇高 染谷将太 白山乃愛 / 白石加代子
吉田鋼太郎 / 斉藤由貴 / 松重豊
市村正親
役所広司
公式サイト
https://scarlet-movie.jp/
ⓒ2025 スタジオ地図
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