ショッピングモールで歌唱「お母さんたちがビックリして子どもたちの耳をふさいだりしてましたね(笑)」
「デビュー前は、よくライブで『こどものうた』とかを歌っていたんです。そのころ、マネージャーさんは高橋優を少しでも知ってもらおうと、ショッピングモールとかのイベントスペースをブッキングしてきたんですよ。
ただね、『こどものうた』の歌詞には、“暴力ママ”とか“元彼の息子”とか、そんなのがいっぱい入ってて(苦笑)。それを、子ども連れであふれる週末のモールで大声で歌うわけです。子どもたちは興味津々で寄ってきてくれるから、ついうれしくなって歌うと、お母さんたちがビックリして子どもたちの耳をふさいだりしてましたね(笑)。“歌うな”って止められた、路上ライブと一緒だなって思いました」
鬱屈した3年間にも見えるが、そこでだからこそ得られた、代えがたい大切な出会いもあった。
「デビュー時に、今も所属するレコード会社の社長に会うことができたことは大きかったです。僕を商品ではなく“人間として一緒にやっていこう”と言ってくださったんです。
僕を、単なる歌う商品としてしか見ないで、何かの企画として作為的にデビューさせたとしたら、いったんは注目されるだろうけど、継続していくのって大変だっただろうなと思うんです。幸運にも、僕は一人の人間として向き合って仕事をしようと言ってもらえた。これも、すごく大きな“THE CHANGE”でしたね。
あと、デビュー前の3年弱を通して、いろんな場所で歌う経験を積めたことで、“歌うとはどういうことか”とか、“ここではどう表現すべきか”ということをじっくり考えられたことも今の僕の財産になっています」
2010年4月、高橋さんの手掛けた『福笑い』は、デビュー前にもかかわらず、東京メトロのCMソングに抜てきされ、その優しく心温まるメッセージと歌声で注目を集めた。