歌舞伎名跡「市川染五郎」の当代であり、2023年には第40回ベストジーニスト次世代部門に選ばれるなど、ファッションアイコンとして若い層へのアピール力も強い、高麗屋の貴公子・八代目市川染五郎。2歳で歌舞伎座に初お目見えし、現在20歳。Prime Videoにて12月19日(金)より配信スタートした、Amazon MGMスタジオ製作の新ドラマシリーズ『人間標本』で初の現代劇ドラマへの挑戦を果たした。伝統芸能と現代劇の双方で活躍を見せはじめた染五郎さんのTHE CHANGEを聞く。【第3回/全3回】

市川染五郎 撮影/有坂政晴 ヘアメイク/桂川 あずさ スタイリスト/中西ナオ

――ドラマ『人間標本』での現代劇初挑戦は、染五郎さんにとって大きなTHE CHANGEになったと思いますが、これより以前、この作品や人に出会って「自分は変化した」という瞬間や時期はありますか?

「歌舞伎の世界においては、祖父や父を除くと、(坂東)玉三郎の兄さんからの影響が大きいです。最近ご一緒させていただくことが多いのですが、ご一緒していないときにも、自分の舞台を観てくださっていて、いろいろお話してくださいます」

――たとえばどんなことをお話されるのですか。

「声の出し方ひとつにしても、人体の断面図を見せてくださって、そこから“ここからこう空気を通すと、こういう音が出る”など、説明してくださるんです。歩き方でも、歌舞伎の古典作品だと、どうしても様式になってしまうと。もちろん様式ではあるんだけれど、人物の心情があって、そこから様式的な動きが生まれる。そこを忘れて様式だけになってしまうと、深みも情緒もなくなってしまうから、様式の奥に心情や心理を考えてやるようにと教えてくださいます」

――なるほど。

「なので玉三郎の兄さんといった方々はもちろんなのですが、ただ、自分のTHE CHANGEとして大きかったのは、俳優の八嶋智人さんとの出会いです」