きっと誰の心にも、“一樹”が宝物のように存在しているはず

――それまでは、「本当にやりたかったこと」に蓋をしていたんですね。

「でも、勉強になったのは事実です。助監督としてカチンコを打ちながら間近で芝居を観て、“なるほど”なんて思ったり、製作陣は俳優と、どのように接していくのかを学んだり。そのおかげか、俳優としてカメラの前で緊張しなくなりましたね」

――つらいときに、行平さんを癒やす男性って、どんな方ですか? ひかれる男性像を教えてください。

「動じない人! 私はけっこう“あのとき、ああすればよかったな……”と、くよくよ、くどくど考え込んでしまうタイプなんです。だからこそ、どっしり構えている人に安心感を覚えますね。そういう人ほど、細かいところまで繊細に見ているとも思うんです。
 そう考えると、一樹がまさにそうかも。一樹、本当に何もしゃべらないんです」

――確かに青柳さんの台詞は、とてもシンプルです。でも、抄子への愛情が伝わるのがすごいですよ。

「そうなんですよ。愛情は言葉を並べなくても伝わるんだと、勉強になりました。私は、つい言葉を飾り立てる癖があるので」

――現実で、一樹のような男性に会ったことはありますか?

「大学時代、すごく好きな人がいたんです。私だけじゃなくて、みんなが彼のことを好きで、憧れのお兄さんみたいな存在でした。大学を卒業してから10年以上会っていなかったんですが、この映画の撮影のちょっと前に再会したんです」

――すごいタイミングで!

「その瞬間、“一樹だ!”って思って。なんだか腑に落ちました、だから私は抄子をすんなり演じられたのかと。“私にとっての一樹は、あなただったのか”と伏線を回収できた気分になりました。きっと誰の心にも、そういう“一樹”が宝物のように存在しているはずです(笑)」

行平あい佳(ゆきひら・あいか)
1991年生まれ、東京都出身。2018年『私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください』で映画初主演。近年の主な出演作に、映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』(23年)やドラマ『JKと六法全書』(EX/24年)など。本作『セフレの品格』シリーズでは1作目『初恋』、2作目『決意』(ともに23年)に続き、青柳翔とW主演を務める。