俳優・成宮寛貴が、12年ぶりに劇場に帰ってくる。2026年1月から始まる三島由紀夫作の戯曲『サド侯爵夫人』で主演する彼は、なぜこのタイミングで、そして、なぜこの作品で再び舞台に立つことを決意したのか。成宮の、表現に燃やす執念と人生のTHE CHANGEを聞いた。【第4回/全4回】
「僕の人生はターニングポイントが何度も訪れています。伸び悩んでいるときや、困っているときに力を貸してくれる人が必ず現れます。人生で最初に受けたオーディションが亞門さんの舞台で、そこから俳優人生が始まって。俳優の活動を休んでいたときには、その夏たった一度だけ行った海で、亞門さんに再会して、この舞台につながったのは運命ですよね。ふだんは海にはまったく行かなくて、たまたまジャズが聴きたくて行っただけなのに(笑)」
成宮は、一流の演劇人との出会いが自分を成長させてくれたと振り返る。2000年の俳優デビュー作の『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』や今回の『サド侯爵夫人』演出の宮本亞門さん、舞台『お気に召すまま』(2004年、07年)や『太陽2068』(2014年)などで一緒に舞台を作った蜷川幸雄さん。
今年、復帰第1弾の主演ドラマになった『死ぬほど愛して』(ABEMA)への出演も、原作者の樹林伸さんとの3年前の再会の際に、構想を聞いたのがきっかけだった。「乗り越えなくちゃいけないときに、いい出会いがやって来ます」という。そんな出会いをつかむ秘訣(ひけつ)はあるのだろうか?
「僕が意識していることが、ひとつだけあります。“自分のやりたいことは、ちゃんと口に出して言う”です。どんなことでも、思っていることを人にたくさん伝えるのがいいのかな」