『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』『ポニーテールはふり向かない』など、1980年代の大映ドラマ黄金期を、間違いなくけん引した俳優・松村雄基。30歳以降は舞台を主戦場に活躍を続け、60代に入った現在は渋さをプラスしたベテラン俳優として活躍中だ。2026年は、年明け早々1月2日からの舞台『わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語-』でスタートする。さらに1月期連続ドラマ『ラムネモンキー』(フジテレビ)も放送になる。ますます脂の乗る松村さんのTHE CHANGEとは――。【第1回/全4回】

松村雄基 撮影/有坂政晴

 視聴者を一気にトリコにした大映ドラマでの目ヂカラはそのままに、ステキに年齢とキャリアを重ねている松村さん。現在は次から次へと舞台作品に立っている。ドラマ俳優から舞台へと場を広げたイメージが強いが、松村さんは「僕はもともと舞台がスタート」と明かす。

「14歳から16歳、中学3年から高校1年まで2年間ほど『劇団俳小』で舞台演劇を学びました。『劇団俳小』はスタニスラフスキーとかチェーホフとか、バリバリの新劇をやっているところで、僕は小道具を作り、大道具もみんなで作っていました。もともとスカウトされて事務所に入ったので、演劇も何も興味もないし知らなかったんですが、社長から“お前は、何も知らないんだから勉強してこい”と、2年間預けられてたんです(笑)」

――ではスタートは。

「舞台です。周りは20歳以上の大人ばかりでした。毎週2回学校のあとに行っていましたが、大人たちが本気で飛んだり跳ねたり、叫んだり泣いたりしてるわけです。“なんだろう、この人たちは”と正直思いましたけど、僕も楽しかったんですよね。その思いがどこかにずっとありました。ただ、役者としてやっていこうという気持ちは、そんなにありませんでした。そこからいつの間にか『スクール☆ウォーズ』やら何やらやることになって、30歳のときに、ようやく舞台に立ちました。それがちょっとお茶目な感じのミュージカルで、お使いになる側としては、映像で、しかも少し強面のイメージのある自分をということで、新しい起用の意味だったのだと思います。だけど社長としては“いよいよ来たか”という感じだったらしいです」

――松村さんご自身は。

「僕自身は30歳でも、まだ役者ということ自体に迷いがありました。でも舞台に出たとき、生のお客さんのエネルギーがすごくて。仕事をしていくうえで、ものすごく大きな力になって、僕の体に入ってきてくれることが分かりました。自分とお客さんとの間のエネルギーのキャッチボールというか、循環があることを、改めて知りました」