脚本家・渡辺あや氏との交流

 11年、尾野さんはNHK連続テレビ小説『カーネーション』で主演を務めた。09年のドラマ『火の魚』でも尾野さんとタッグを組んだ渡辺あや氏が脚本を担当し、朝ドラでは初めてとなる第49回・2011年度テレビ部門でギャラクシー賞大賞を受賞。現在も数多くのファンから愛されているドラマだ。朝ドラ主演の経験がもたらしたもう1つの変化について、尾野さんはあらためて語ってくれた。

「それまで芝居をするたびに“これでいいのかな、これで合ってるのかな”とビクビクしていました。いろんな不安がたくさんあったけど……朝ドラを経験して、撮影が不安じゃなく、楽しくなった。芝居が不安ばっかりで埋め尽くされていなくて、楽しくその現場に行くということを覚えたり、そういうことがあったかな」と、尾野さんは笑みをこぼす。

『カーネーション』は尾野さんと渡辺氏の脚本の化学反応も相まって熱狂的ファンを多く生み出した作品だが、渡辺氏とは“阿吽の呼吸”なのかとたずねると「いやいやいや、あやさんは天才ですからね」と謙遜する。

「でも一回、渡辺さんのご自宅の近くに一人旅に行ったことがあって。その時に、急に電話して“今から行っていい?”って、聞いたんですが、あやさんから“今日はやめて、明日にして”って言われたのに突撃したことがあります。

『火の魚』をやってからはすごく距離が縮まりました。で、朝ドラですから。私の中ではなんかもう……他人ではない感じというか、話しかけてくれるのも、もう普通に身内みたいな感じで話しかけてくれるから、他人と思えない存在ですね」