20歳のときに出演した映画『カンゾー先生』で一躍、脚光を浴び、日本映画に欠かせない俳優となった麻生久美子さん。演じる役柄の幅は広く、シリアスからコメディまで演じこなし、二児の母親となった最近では、母親役を演じることも多い。俳優として多様な顔を持つ麻生さんだが、そこにはさまざまな「CHANGE」があったようだ。【第2回/全5回】
演じることの始まりは『カンゾー先生』
これまでに数多くの映画・ドラマに出演してきた麻生久美子さん(45)。その原点でもあり、大きな「CHANGE」となったのが、今村昌平監督の映画『カンゾー先生』(1998年)だという。
「『カンゾー先生』はデビューして4本目の作品なんですけど、今村監督に出会えてなかったら、私は今ここにいないと思うので。出させてもらったことは大変光栄で、自分自身、誇りに思っているところはありますね」
この作品で麻生さんは日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞と新人俳優賞を受賞。大きな転機を迎えたが、この作品に出るまで、俳優の仕事にさほど関心を持っていなかった。
「今村監督のことも全く知らずにオーディションに行ったんです。撮影中もすごい人だとは知らずにやっていましたね」
演出にこだわり、“鬼のイマヘイ”ともいわれていた今村監督だったが、麻生さんの印象では……。
「優しそうなおじいちゃんって感じでしたね。なんだけど、目がすごく鋭くて、見つめられると動けないみたいな感じはありましたね。怖いのとはちょっと違うんですけど、厳しいっていうか、そんな感じでした」
「まだまだやりたい」という思い
本当の意味での俳優人生のスタートとなった『カンゾー先生』。その他には、と聞いたところ、すぐにドラマ『時効警察』(2006年/テレビ朝日系)という答えが返ってきた。
「『時効警察』は、私にコメディの世界を教えてくれたんです。ちょうどその頃、お芝居を続けていくのをどうしようか悩んでいたときに出会って、知らない世界がまだまだあるんだって、気づかせてくれたんです」
『時効警察』は時効が成立した未解決事件を、主人公の警察官・霧山修一朗(オダギリジョー/47)が趣味で操作していく、脱力系のコメディミステリー。劇中にくどすぎるほどギャグがちりばめられているなど、当時もその斬新さが話題になった。
「当時、そろそろ限界かなとか思っていたので。『時効警察』に出て、まだこんなに知らないことがたくさんあって、ワクワクして、みたいなことを感じたので、まだまだやりたいかもって思えたんです」
その『時効警察』は続編も作られ、主演のオダギリジョーさんとは、やはり斬新すぎるコメディドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK)で共演している。
「オダギリさんは魅力的な方で、同級生みたいに気が合うんですよ。定期的に仕事をしたい人、というか、することになぜかなっているんですよね」
見事なまでに合う2人の演技を、ぜひまた見てみたいものだ。