法廷以外の場所だと、フリーな状態に「“お尻を掻いているように見えてしまう”原作の描写を取り入れています」

 ――安堂を表現する際に、気を使った点はどういったところでしょうか。

「安堂は、法廷という場においてどう振る舞えばいいかは分かっている。だからこそ、その場のルールに則って行動できていて、裁判官という仕事を続けてこられたんだと思うんです」

 ――ルールがないと、どうするのが“普通”なのかわからなくなってしまうんですね。

「一方で、法廷以外の場所だと、ある意味、フリーな状態になってしまう。その瞬間に、そわそわしたり、落ち着きのなさが表に出てしまうんです。台本のト書きには『そわそわする』とは書かれているものの、それを足の動きで表現するのか、手の動きで出すのかといった具体的な表現までは示されていなくて。原作には『そわそわを抑えるためにお尻の下に手を入れて圧迫するけれど、外から見るとお尻を掻いているように見えてしまうからやめた』という描写があるんですが、実は第1話のなかで取り入れています」

「そわそわする」というト書きに対して、どんな動きがふさわしいのかを考え、原作の描写も踏まえながら丁寧に形にしていく。その積み重ねが、安堂らしい振る舞いとして表れているのだ。

「こうした安堂の仕草には、和久井映見さんが演じている安堂の主治医・山路先生と、『ここは克服したほうがいい』『対策を取ったほうがいい』と積み重ねてきた時間や歴史があるんだと思うんです。そうした安堂と山路先生との関係性や、その積み重ねのようなものも、うまく表現できたらいいなと思いながら演じています」

つづく

まつやま・けんいち
1985年3月5日生まれ、青森県出身。B型。2002年にドラマ『ごくせん(第1シリーズ)』で俳優デビュー。2005年、映画『男たちの大和/YAMATO』で日本アカデミー賞新人俳優賞ほか受賞。2006年公開の映画『デスノート』『デスノート THE Last name』でブレイクし、2012年に大河ドラマ『平清盛』(NHK)で主演を務めた。近年の主な出演作は、映画『ロストケア』(2023年)、『大名倒産』(2023年)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK・2023年)、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK・2024年)、映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』(2024年)、ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS・2025年)、WOWOW『おい、太宰』(2025年)などがある。

『テミスの不確かな法廷』ⒸNHK

 

▪︎作品情報
-ドラマ10『テミスの不確かな法廷』
-2026年1月6日(火)スタート〈全8話〉
-NHK総合テレビ 毎週火曜 夜10:00〜10:45
-[再放送] 総合テレビ 毎週金曜 午前0:35〜1:20
※木曜深夜、※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信
-原作: 直島翔『テミスの不確かな法廷』
-脚本: 浜田秀哉
-出演: 松山ケンイチ 鳴海唯 恒松祐里 山崎樹範/市川実日子/和久井映見 遠藤憲一 他
ⒸNHK