地球人の普通が分からない「こだわりが強いがゆえに、視野が狭くなっているのかな」
松山自身は当時をこう振り返るが、原作者の白土三平は「生身の本物のカムイと初めて出逢った気がする」と松山の演技に感銘を受け、同作でアクション演出を務めた殺陣師からも、その体技について「鳥肌モノでした」と称賛されている。
「『平清盛』は一生を演じなければいけなかったので、自分の年齢以上の人物を演じていくというのはすごく難儀しました。未知の部分ではあったので、とても悩みましたね」
演じることの難しさを感じつつも昇華し、評価へとつなげてきた松山は、今回の『テミスの不確かな法廷』でも、演じることの難しさを感じているという。
「安堂は、“普通”にこだわりを持っているんです。“普通”になれたら、他の人たちと同じ様に社会に溶け込むことが出来ると思っている。だけど、“普通”って人それぞれにあって、実体がないもの。それでも、失敗したり上手くいかなかった時は自分が普通じゃないからだと、思ってしまうんです」
――どこにも答えがない“普通”を追いかけている安堂を見ていて、どう思いますか?
「僕からすると、安堂はこだわりが強いがゆえに、視野が狭くなっているのかなって感じるんです。第1話での安堂のセリフに『僕は宇宙人。地球人の普通が分からない』というものがあるんですが、どうして地球人と宇宙人って分けちゃうんだろうって。だからといって、僕が安堂に『それは違う、みんな宇宙人だよ』って言ったところで安堂は受け止められない。でも、きっとそれは『お前はどうして普通のことが出来ないんだ』って言われ続けて、傷ついてきた結果のような気もするんです。それをどう表現して、どう見ている人に伝えられるか……というのは、彼を演じ切る最後まで考え続ける問題なんじゃないかと思っています」