「“妊婦の筋肉”」からアスリートの体へ戻す大変さと母乳育児
出産後も続けるにあたり、重要だったのは“サポート体制”と“トレーニングと育児の両立”だった。
「サポートしてくれる人がいるのかどうかはとても大切だと感じました。あとは、スピードスケートはパワー系の競技なので、育児とトレーニングが両立できるのかどうか、当時は全く想像できませんでしたね。それに妊婦の筋肉って……“妊婦の筋肉”って言葉、おかしいな(笑)、妊婦さんは脂肪がつくじゃないですか。ハリのある筋肉から、なんかこう、ほにゃほにゃ、もちもち、になる。そこをちょっと締めたいと思うけど、なかなか締まらない。それをアスリートに、と体を変えていかなきゃいけないので、大変さはありましたね」
妊娠を経たからこそ、自身の身体との向き合い方も考えるようになった。ホルモンバランスなど、アスリートを続けるうえでの課題は多くあったという。
「私は基本的に母乳で育てたいと考えていました。そうなるとホルモン値も変わりますし、子供の分だけでなく、自分自身も栄養をしっかり吸収しなければなりません。今は良いサプリメントがたくさん出ているので、補える部分は多いと思いますが、当時はそういったものがなかったんですよね」
ーー誰もやったことがないからこそ、未知を切り拓いていく大変さを実感します。
「やってみていろいろと勉強になり学んだことはたくさんあるので、やってよかったと思います。体の構造など、本で勉強するのではなく自分の身を以て知ることができたので」
ーートレーニングはそれまで以上に積まれたんですよね。
「そうですね。ただ、子供が乳幼児のころは預け先がありませんでした。保育園に入園できたとしても、小さいうちはすぐに発熱して『お迎えに来てください』となりますよね。そうなると練習が中断し、おろそかになってしまうときがありました。練習中はどうしても電話に出られないので、園にはあらかじめ監督の番号を伝えさせてもらったり、助けていただいていました」
ーーおお! 頼れる人がいてよかったです。
「監督が『おーい、電話来たよ』と教えてくれたり、私がお迎えに行けないときは『監督! すみません! 行ってください!』ってお願いしたり(笑)。とにかくサポートしていただける方に頼ってしまおうという感じでやっていました」