30年の封印を解いた理由と“知床の缶詰”騒動
「ものを作る人になりたい」という情熱は、20歳のときに一つの形となった。『夏の呼吸』という小説を執筆したのだ。しかし、それ以降、彼が「人に読んでもらうための小説」を書くことは、実に30年以上もの間、封印されることになる。ゲームクリエイターとしての激動の日々が幕を開けたからだ。
そして現在。大ヒットしたARG『人の財布』を書籍化するにあたり、藤澤さんは自ら筆を執る決断をする。しかし、いくつものプロジェクトの監督を兼任する彼にとって、小説執筆のための「時間と脳の確保」は至難の業だった。
「他の仕事のチェックをしていると、どうしても小説の世界に頭を戻すことに苦心する。人間って、複数の世界を同時には生きられない。だから『すみません、ちょっと仕事を止めさせてください』とスタッフにお願いして、2週間の“缶詰”を決意しました。最初は、夏の知床のホテルを予約したんですよ。大自然の中で書き上げよう、と」