不特定多数のゲームから、特定の“あなた”の体験へ
不特定多数に向けたゲームから、本を手に取った“あなた”へ。
「汎用性のある物語ではなく、『高畑朋子の場合』として一人の人生の特定のケースを深く切り取ること。それによって、純粋に物語としての深みや解像度を高めることができたと思っています」
では、読者にはこの本でどのような体験をしてほしいのだろうか。
「これは僕の独特な感性ではあるのですが、物語と体験は同じ意味だと思っています。自分から遠い場所で起きていることが『物語』で、自分に近い場所で起きていることが『体験』になる。この小説『人の財布』には、ただの物語が急に自分の『体験』へと変わる転換点が仕掛けられています。もし、物語に自分自身で介入してみたいと思っている方は、ぜひともそのゾクッとするような転換点を味わっていただきたいですね」