マニアックな遊びを「誰もが楽しめるエンタメ」に翻訳する

 そんな彼が独立後に作り始めたものが、当時はまだニッチなジャンルだったARG(日常侵蝕ゲーム)だ。「僕がARGをやりたいと思ったとき、世の中に作っている人はほとんどいませんでした。2000年頃に映画などのプロモーション手法として流行ったものの、『面白いけれどマネタイズが難しく、ビジネスにならない』という烙印がすでに押された後の状態だったんです。仲間内からすら『それって本当に面白いんですか?』と疑われるような状態からのスタートでした」

 しかし、藤澤さんは堀井氏がRPGを大衆化したように、ARGというマニアックな遊びを「誰もが楽しめるエンタメ」に翻訳しようと試みた。等身大の自分が、現在住んでいるこの東京の片隅で物語に巻き込まれる。その「体験」の可能性を信じたのだ。

「時代が進めばテクノロジーも変わる。テクノロジーが変われば手法も変わります。第四境界の前身である『Project:;COLD』から始まり、『人の財布』『かがみの特殊少年更生施設』と作品を重ねるごとにファンが増え、ARGがビジネスとして成立し得ることを少しずつ証明できるようになってきました。逆風の中でその瞬間を一緒に見てきたのが、今の会社の仲間たちです」