手ごたえを感じた矢先に襲ったコロナ禍
ライブは回を重ねることに子どもたちの人気を獲得していき、大人気となっていく。たしかな手ごたえを感じていった小島さんだったが、そんな中、あのコロナ禍が訪れてしまう。せっかく子どもたちにウケるライブを生み出し、新しい道を進み始めていたのに、それがまったく開催できなくなってしまったのだ。途方に暮れている小島さんに、知り合いの作家さんがある提案をしてくれた。
「YouTubeで子ども向けの教育系チャンネルをやりませんか、って言ってもらったんです。それがいまもやっている『オッパッピー小学校』っていうYouTubeチャンネルです。その頃はスケジュールが休みばっかりになっていたので、“時間もあるし、やってみましょうか”みたいなノリで始めたんですけど、やってみたらそれがすごい評判になっちゃったんですよ」
ライブができない時期になんとなく始めたその『おっぱっぴー小学校』は、「子どもが見ている教育系YouTubeチャンネル」を調べたある調査で、2位以下に大差をつける圧倒的な得票数で第1位になるほどの人気を獲得するまでに成長。いまも日々チャンネル登録者数を伸ばしている。
こうして幾多のピンチを乗り越え、子どもたちから絶大な支持を受ける大人気芸人となった小島さんには、先輩の芸人から以前言われた忘れられない言葉がある。
「若い頃、遊んでもらっていた先輩がいるんですけど、その先輩はよく“芸人っていうのは、それぞれみんな芸の中心になる核があって、それをみんな大きくしているんだ”というようなことを話されていたんです。
それで先輩に“俺の核ってなんですかね”って聞いてみたら、“よしおはね、優しさかな”って言われて。その時は“いやいや、優しさってどうやって芸にすればいいんですか!”みたいなことを言ってたんですよ。
でも、今となれば子どものお悩み相談とか、子供向けのライブとかって、その“優しさ”みたいなものが中心にあるような気がして、“当たってるな”って思うようになりました」
無我夢中で走り続ける中、壁にぶつかり立ち止まってしまうのは誰にでも起こりうること。そんな時小島さんのように、身近にいる人たちの声を素直に受け止めていくことが新しい扉を開く変化「THE CHANGE」に導いてくれるのかもしれない。
■プロフィール
小島よしお(こじま よしお)1980年11月16日、沖縄県島尻郡久米島町で生まれ、その後千葉県千葉市稲毛区で育つ。早稲田大学教育学部国語国文学科に入学すると、お笑いサークルに入り、のちのキングオブコント王者・かもめんたるらとコントグループ「WAGE」を結成し活動。2006年からピン芸人になると、翌年「そんなの関係ねぇ!」、「おっぱっぴー」などのギャグで大ブレイク。現在は、自身の身体能力を生かしたスポーツ系の仕事や、コメンテーター、教育系YouTuberとしても活躍の場を広げている。
『小島よしおのボクといっしょに考えよう』
AERA dot.で連載中の子どものお悩み相談が待望の書籍化。子どもと同じ目線で寄り添う、小島よしおさんの優しく温かい回答が話題を呼び、ツイッターで関連ワードがトレンド入りも果たす。読むと心が温かくなる一冊。全文ルビつきで、子どもも大人も読める。
小島 よしお 著
定価:1540円(税込)
発売日:2023年9月7日