チャンネル登録者数95万人超えの推理系ユーチューバーにして、「ネット界の江戸川乱歩」とも呼ばれる作家・雨穴。2021年に覆面作家としてデビューし、自身初の書き下ろし長編小説『変な絵』(双葉社)は45万部を突破するベストセラーになるなど、発売から8か月が過ぎた今でも話題を呼んでいる。わずか2年で、著書累計100万部超えの人気作家となった雨穴さんの人生における「THE CHANGE」とは――。【第2回/全3回】
長編小説『変な絵』(双葉社)は45万部を突破するベストセラーになるなど、今や人気作家となった雨穴さん。そのもうひとつの顔が、チャンネル登録者数95万人超えの人気ユーチューバーだ。現在も動画投稿を続けていて、その最新作『【科学ホラーミステリー】 変なAI』は、再生回数300万回超えの大ヒットとなっている。
――なぜ、AI(人工知能)を題材にしようと思ったんですか?
「昨年から、AIを使ったモノづくりが世間で脚光を浴びるようになったので、それに一切触れないのは違和感があるなと。それに、今後の作品にAIを用いる用いないは別にして、一度は経験して、自分の中でAIに対するスタンスを明確にしておかないと、表現に説得力がなくなるなと思ったんです。
そこで、画像生成AIが作ったものを題材にした、ホラーミステリー動画を作ってみました」
――小説『変な絵』の作中に登場する絵は、雨穴さんご自身が描いたと聞きました。それに対して、今回の動画で題材となる画像は、AIに作らせてみた。ご自身の中でなにか変化を感じましたか?
「『変な絵』では、絵を描いた人の性格や描いた場所、シチュエーションをしっかり決めて、リアリティを出すように意識しました。第1章の複数の絵を重ねるアイディアも、作中に組み込むうえで、一度考えとして排除してみたり、違う角度から発想してみたりと、試行錯誤しながら形にしていったんです。
AIに挑戦するうえでも、そのスタンスに大きな変化はありませんでした。ただ、AIの便利さは実感しました。クリックひとつで作品ができるし、すでに多様な表現もできるし、この便利さを一度覚えちゃったら、後戻りはできないだろうなと思います。
現代人がスマホなしでは生きられないように、近い将来、AIなしでは作品づくりが成り立たないと言われる日が来るのではないでしょうか」