ここまで劇的に変化した芸人は、かつていなかったのではないだろうか。マシンガンズ滝沢秀一の人生は、芸歴16年以上の漫才師を対象としたトーナメントで一変。以来、多忙な日々が続いている。チャンスをつかみかけて逃し、新たな道を探り、そして芸歴25年目で大ブレイクした滝沢さんの「THE CHANGE」とはーー?【第2回/全3回】

マシンガンズ滝沢秀一 撮影/貴田茂和

 5月20日、結成16年以上が参加資格の賞レース『THE SECOND』でマシンガンズが準優勝すると、予想外の現象が起きた。滝沢秀一さんの「顔ファン」が急増したのだ。
SNSで自撮り写真を更新するたびにバズり、「滝沢さん」というワードが連日トレンドに入った。滝沢が「#自撮りおじさん」というハッシュタグを広めると、おじさん芸人たちが次々と自撮りをアップする珍現象も起きた。
 マシンガンズを25年続けてきたから起きた奇跡だといえる。長く続いた雌伏の時期、滝沢は、なぜ解散を選ばなかったのだろうか。
 
――『THE SECOND』準優勝をきっかけに「顔ファン」が増えましたが、滝沢さんは「流れに乗ったほうが面白い」と思っているんですよね。

「僕はやりたいことがないんですよ。己がないので、求められたことをやっているだけ。都合のいい男なんです(笑)」

――相方の西堀さんからは躊躇や恥ずかしさを感じます。

「西堀には“芸人とはこうあるべき”という信念があるんです。だけど、僕はゴミ清掃の仕事に身を捧げてからは“芸人とはこうあるべき”がなくなりました。いまは、求められたことをやっているだけで、求められなくなったらやめるだけ。
 笑いの仕事も同じだと思っていて、求められなくなったら自然と引退するのかなと。『THE SECOND』の前は、フェードアウトしてもおかしくない状態だったと思います」