「いやなことの代わりに報酬を得る、っていうのは時代遅れかもしれないですよね。好きなことをして報酬を得ない」
ーーなにか胸を打たれます。純粋というか。
「だって、理由なんて言えないでしょ。この食いもんが好き、もそうだし、好きって理由ないのかもしれない。だってみんな、お笑いが好きなんだもん。
みんなが理想としている、ある程度お金持って田舎に引っ込んでスローライフを送りたいっていうのを、芸人は金はないけど、してるんです。
根本としてあるのは、いやなことの代わりに報酬を得る、っていうのは時代遅れかもしれないですよね。好きなことをして報酬を得ない(笑)。
本に出てもらった人たちは、あんまりお笑いを職業として捉えてない。
もうちょっと俺は、シビアにものを考えちゃう。やっぱお金が欲しいからこの仕事やってるとこもあるし。
でもなんかみんな聞いてると、やりたいからやってるっていう感じがするよね。
スポーツは肉体に来るじゃないすか、限界が。だから引退の時期がある。でも、お笑いはやれちゃうんですよね。
ボケてる老人の芸人がほんとに覚えられなくて、めちゃくちゃウケはじめてるんです。もう80になるのかな。
もうね、こんな仕事ないですよね。今回の本に出てくる芸人はみんな、俺がそういう人をチョイスしてるのかもしれないけど、1回も売れてやる、って気概がなかった。いつか売れるかもしれない、とかっていう漠然とした思いですよね。
あの棚ぼた精神は清々しいです。いつか落ちてくるんじゃないかと思って、なんとなく待ってるんですよ。でも、特に何をするわけじゃない」