“この道でいいんだ”って思っていたのをいい意味で潰されて、新たな道が拓けた

 そんな2人に意外なアドバイスが授けられる。当時彼らはハロー!プロジェクトなどで知られるアップフロントエージェンシーに所属していた。同社の社長から「漫才のほうがいいよ」と声をかけられる。

山本「それまでライブではコントしかやってなかったんです。そもそも東京では漫才をやってる人が少なくて、みんなコントがメイン。僕らも漫才をやろうなんて思ったこともなかったんですけど、社長がいうには“バラエティの世界で求められるのはしゃべりだ。それならコントより漫才だろ”と。“つくってみろ”っていわれて、ボケをしゃべりに落とし込んで漫才にしてみたら次は受かりました」

 披露した漫才は「アニメが年をとったら」。「俺のものは俺のもの、お前のものはお前のものだよ」と分別を見せるジャイアン、医者からハチミツを止められているくまのプーさん……ボケを多数詰め込み、大きな笑いをとる。常連組のビッキーズや18KINを押さえ、その日の3位につけた。

関「初めて受かったことも、2回めで落ちたことも、漫才を始めたことも、いってみれば全部転機ですよね」

山本「落ちてなかったら漫才やってなかった可能性もありますね。“この道でいいんだ”って思っていたのをいい意味で潰されて、新たな道が拓けた。あのとき漫才やってよかったなと思ってます。コントよりは自分たちに向いてました」

 禍転じて福となす――”漫才師”タイムマシーン3号誕生の影にはそんな物語があった。

■プロフィール
タイムマシーン3号
山本浩司(やまもと・こうじ)1979年6月22日生まれ。新潟県出身。
関太(せき・ふとし)1979年8月5日生まれ。群馬県吾妻郡六合村出身。
東京アナウンス学院の同級生同士で2000年に結成。2003年より『爆笑オンエアバトル』に出演し、常連として成績を残す。『M-1グランプリ』2005年、2015年ファイナリスト。『キングオブコント』2016年ファイナリスト。現在のレギュラー番組は『有吉の壁』(日本テレビ)、『藤田ニコルのあしたはにちようび』(TBSラジオ)、『真誠presents タイムマシーン3号のそろそろ売れてもいいんじゃない?』(CBCラジオ)ほか。