貫地谷しほりの映画デビューは2002年、16歳のときだった。07年にはNHK朝ドラ『ちりとてちん』のヒロインを演じ、国民的女優に。その後も数多くの作品に出演し、演技者としてキャリアを重ねてきた。6月30日公開の映画『オレンジ・ランプ』では、若年性認知症と診断された夫を支える妻を演じる。
 貫地谷さんの「THE CHANGE」、重要な変化とはなんだったのか。それを経て、彼女はどう変わったのかーー。【第3回/全4回】

貫地谷しほり 撮影/小島愛子

 2002年『修羅の群れ』で映画デビューして以来、20年以上女優として第一線で活躍し続ける貫地谷しほりさん。今回、映画『オレンジ・ランプ』では、39歳で若年性認知症と診断された丹野智文氏の実話を基にした心温まる物語が描かれている。貫地谷さんにとって「演じる」ということでの「THE CHANGE」はなんだったのだろうか。

「今回、実話が元になっているとはいえ、私たちがやっていることは“嘘”じゃないですか」と貫地谷さんはあっけらかんと話す。

「嘘の世界をやるのに、私がすごく大事だなと思っているのは、“どれだけ自分の本当の気持ちを引っ張ってこれるか。どれだけ本当に自分ごとのように感じられるか”。たぶんその時に出てくる音、なんだろう……普段生きているのに、急に”ヘヘッ”みたいなことを言ったり、そういう生っぽい音っていうんですか。

 私は誰かを手にかけたこともないですし、ぜんぶ経験主義っていうのはすごく難しいと思うんですけど、私たちにはまだ人工知能にはできない想像力というのがあります。それはすごく大事なのかなと思います」