『家なき子』大ブレイク後も常に感じた焦燥感
最高視聴率は37.2%を記録し、劇中のセリフ「同情するならカネをくれ!」はこの年の『新語・流行語大賞』を受賞。『家なき子」は、社会現象を呼んだ。以降、中学・高校時代は休む間もなく主演ドラマの公開ラッシュが続く。そして年齢を重ねるごとに比重が増していったのは、「早く、大人にならなくちゃ」という焦燥感だった。
「当時は本当に、”子役は大成しない”というジンクスみたいなものがすごく強い時代でした。じゃあ、自分も終わってしまうのかな、みたいな。だから早く“子役”というジャンルを抜け出して、ちゃんと大人の俳優にならなければ、と。そうじゃないと、下に落ちていく感じがするっていうか」
人気者の一寸先など想像したこともなかった視聴者をよそに、10代後半の安達さんは「そういうのを、ずっと感じていたんです」と、穏やかな口調で話す。
ーーそこから、明確な変化が訪れたんでしょうか。
「はい、19歳、20歳くらいのときですね。明らかに要求されるお芝居の質というか、テイストが変わった時期があって。それまでは子役として扱われていたから、言われたことをやって、それでよかったんです。
でも、自分から出てくるもの、自分からの発信みたいなものがないと、この先はやっていけないんだなと思う時期がきたんです。明らかに、演出家からの要求が変わったのが、はっきりとわかりました」