ドラマから映画まで、さまざまな作品で存在感を発揮する柄本佑。2024年のNHK大河ドラマ光る君へ』では藤原道長という大役を演じる。芝居を真摯に愛し、多くの役柄を魅力的に演じてきた柄本さんが語る「THE CHANGE」とは。【第3回/全5回】

柄本佑 撮影/冨田望

 10月16日公開映画『春画先生』では、プレイボーイぶりに拍車をかける短髪のセンターパートヘアだが、現在の柄本佑さんは、ナチュラルなウェーブが美しいセミロングヘア。2024年放送予定のNHK大河ドラマ『光る君へ』で藤原道長を演じるにあたり、伸ばしているという。

柄本「去年から1年以上伸ばしているんです。だから僕、自前でちょんまげ結っているんですよ」

ーー自前で! すごいですね。

柄本「撮影が終わったら切ってしまうんですけどね」

 役柄によってまったくことなる姿かたちに変化する柄本さんが、『春画先生』で意識したのは、独特のセリフ回しのとらえかただった。

柄本「僕が演じた辻村という編集者は、セリフ回しも作り上げられたものだったりして。フィクション度の高さが非常にある台本でした」

 そんな柄本さんがもっとも印象に残っているというセリフは、内野聖陽さん演じる春画先生のもの。江戸時代中期の画家・円山応挙の「雪松図屏風」を熟視しながら、北香那さん演じるヒロインに、感動含みで解説するというシーンだ。

柄本「“積もり積もった雪と思った雪の白さは、実はただの紙の白さ”という、無から有を生み出すみたいなセリフがあるんですが、あのセリフって非常に実感がこもっていて。あのセリフは誰かの言葉を借りたんじゃなくて、絶対に塩田(明彦)監督の実感であり、発見だと思うんですよね」