ドラマから映画まで、さまざまな作品で存在感を発揮する柄本佑。2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』では藤原道長という大役を演じる。芝居を真摯に愛し、多くの役柄を魅力的に演じてきた柄本さんが語る「THE CHANGE」とは。【第5回/全5回】
つねに作品と真摯に向き合う柄本佑さんの「THE CHANGE」は、仕事にかんすることではないかと想像していると、その予想は見事に裏切られた。
柄本「人生が変わった瞬間……やっぱり結婚したときと、子どもが生まれたときですね」
2009年、「第18回あきた十文字映画祭」で出会い、その2年後に映画『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』で共演、以降親交を深めていった女優の安藤サクラさんと結婚したのは、2012年3月のこと。
柄本「結婚するまでは、“あれもやりたい”とか“これもやれる”とか、いろんな可能性があるなと思っていたけど、結婚してまず漠然と思ったのは、“自分は、この役者という仕事を一生続けていくんだろうな”ということでした」
ーー結婚がきっかけで、そう思われたんですね。
柄本「そんなに、確固たる決意! みたいなものじゃないですよ。映画を撮りたいとか、そういう夢は叶えるにしても、きっとこの仕事は一生続けていくんだろうな、と」
ーーお子さまが生まれたときに訪れた変化は、どんなものでしたか?
柄本「やっぱり、“自分が一番じゃなくなる”ということですかね。自分が一番じゃないって、すっげえイイんですよ。楽です。娘が1番で、家族が2番で、自分はもう3番目くらいになってくると、それはそれで気持ちよさや明るさがあるというか、人に対しても」
ーー“自分が一番”だと、それによるストレスがかかるということですか?
柄本「わからないですけど、たとえば、“自分が一番”だったときは見られていることばかり気にしちゃって、むしろ無口で憮然としてるみたいな。でもいまは、“俺、こんなにおしゃべりだったの!?”くらいに変わりました」